いいかもしれない
為作

たしか稲荷駅だと思うんだけどね
母と別れたの
電車が動き出すと追いかけちゃって
祖母がね
血は繋がっているのだけど
義理の祖母がね
手を掴んで離さなかったみたいで
うっすらね
うっすらだけど
紅いね
あれは鳥居と同じ紅色だった
色だけが
色だけ目に焼きついちゃってね
今でもそんな気がするんだ
あれは2歳のときだと聞いたよ
義理の祖母に預けられてね
血は繋がっているのだけど
義理の祖母も再婚していたから
旦那さんがいたよ
祖父だと思っておじいちゃんだなんて
呼んでいたけど
血は繋がってないし
その人
仮でも義理でもなかったんだよね
なんだか
よそよそしいと
うすうすね
うっすら感じていたんだけど
事情がわかってからも
その人が死ぬまで
おじいちゃんと
呼び続けていたからかな?
その人なんだかんだいっても
最後までおじいちゃんで
いてくれたよね
8時だよ全員集合を観ながらだった
あれはワンタンスープ
そうワンタンスープにね
お昼に捕まえたカミキリムシをね
カミキリムシを
ワンタンスープの中に
落としちゃったとき
その人ね
その人
怒らなかった
黙って
ただ黙って
隣の部屋に入っていった
そのときね
襖の間仕切りが
スタン
と音を立ててね
音をたてて閉まってね
なんか
やるせない音だったよ
3歳のときかな
新しいお母さんが来たみたいで
すぐになついたみたい
いや
なつかなかったのかな
そこらへん
まったく思い出せなくて
いつのまにか
そのお母さん
ほんもののママになっていて
京都産業大学附属の
いい幼稚園に
入園したんだよ
初日、
ママのこぐ自転車にのせられてね
幼稚園に着くと
するとママがね
ママがどこかに行こうとするんだ
幼稚園の先生に
手を掴まれて
ママがね
またママがね
またママが離れていくけど
それじゃなくて
ママが
そのことじゃなくて
ママがね
ママとね、
お別れするのかな
ママがね
ママじゃなくてもよかったんだよ
誰でもよかったんだけどね
お別れは
辛くて怖くて
そして悲しいものだと
ただそれだけがね
そのことだけが
その感じがね
その感じだけが
すごく鮮明に残っていて
すごく泣き喚いたのを
覚えている
はじめ君という名前の
友達ができてね
たしかはじめ君だったと思う
はじめてできた友達だったからね
はじめ君だったのかも
はじめ君の家に
はじめて遊びにいったとき
はじめ君のママのね
髪が巻いていたんだ
くるっと巻いた髪が
なんか嫌な感じじゃなくて
鏡越しにね
その
くるっと巻いた髪に
光がさして
ゆらゆらと揺れていて
すごく綺麗だった
はじめ君のママが
ママかも
きっとママかもというか
そうだと思って
ママって呼んだら
家まで送ってくれた
帰ったらね
チキンライスのね
チキンが古かったから
少し臭かったよ
ママがね
ママが作ってちゃんと
テーブルの上に
ママが
用意してくれていたからね
カミキリムシ
カミキリムシは
取り上げられたけど
なんで取り上げられるのか
わからなかったけど
ママが怒るから
怒るママを見たくなくて
カミキリムシをね
ママがカミキリムシを
外に逃そうとして
窓からカミキリムシが
パッと
羽を広げて
外にむかって
飛んでいってしまって
すぐに
見えなくなって
見えなくなってしまってね
消えて
見えなくなってしまってもね
カミキリムシが
カミキリムシで
ママじゃなくてよかったな、
と思っていた
チキンライスと、
口の中の
千切りキャベツが飲み込めなくて
飲み込めるまで
ずっと座らされていたんだ
ママがね
そうしないと
ママがね
早く飲み込まないと
どこかへ行ってしまう気がして
ママがね
どこかへ行ってしまう気がして
もごもご
していた
もごもごしながら
今までこんなに
もごもごしたこと
なかったから
もごもごしていたら
口がね
口の中がね
よそよそしく
なぜかよそよそしく
なってきてね
ママのことがね
誰でもよかったんだよ
もごもごしていると
もごもごしているだけなのに
ママがね
よそよそしく
よそよそしく感じてきてね
よそよそしいから
もごもごしていると
よそよそしくなってきて
誰でもよかったんだけどね
こんなに
もごもごするなら
はじめ君のママのほうが
いいかもしれない
4歳のときかな
父のね
父の実家が
愛媛の山奥の石鎚山の麓でね
そこに家族で遊びに行った
渓流の音がずっと
ずっとたえまなく
聞こえていて
途切れることが
なくてね
そこには
血の繋がっていない
義理のおばあちゃんがいてね
あと父の
腹違いの兄弟がいてね
おじいちゃんは、
ほんもののおじいちゃんで
血が繋がっていてね
父の父だった
でもおばあちゃんは
義理のね
義理のおばあちゃんで
血は繋がっていないのだけど、
その子供がね
その子供は父の義理の兄弟になってね
叔父と叔母になるのだけど
父とはだいぶ年齢が離れていてね
お兄ちゃん、お姉ちゃんと
呼んでいたよ
渓流は面河川という名で
川の水が流れる音が
音がね
たえまなくずっとね
ずっとそばから離れずに
聞こえてね
いつも
透き通っていてね
雨が降ると
濁って水嵩が増す
ただその繰り返しだから
ただその繰り返しだけがね
とてもね
とてもわかりやすくて
すぐにママというか
ほんとに
その水の臭いとか
音とか
かんたんに
なにも迷うことなく
大好きになれたんだよ
夏休みが終わって
車でね
帰るとき
車にね
帰るときにね
パパとママだけが車に乗っていて
車に、
乗っているパパとママにね
無邪気に手を振って
さよならしたんだ
さよならしてね
パパとママと
さよならしたのに
怖くもなくてね
辛くもなくてね
川の水の流れる音は
サラサラと
悲しくなくて
無邪気に
車が見えなくなるまで
無邪気に手を振っていると
それから7年、迎えに来なかった
川の水が流れる音は
サラサラと
サラサラとして
ポカンと浮いた泡の
意味が
意味がね
意味がわからなかった
ポカンとして
川に石を投げてみたりして
ひろがる波紋がね
川の流れに流されて
消えて
消えてしまって
お兄ちゃんとお姉ちゃんにね
ポチャンと
捨てられた子
ポチャンと
橋の下で拾われた子と呼ばれてね
サラサラ
川がサラサラと
水に流してくれるから
いつもね
川がね
水にのせて運んでいる
落ち葉や木の枝
もとの
そのもとの木のことや
落ち葉や木の枝の
行方や
海を
海の
遠く海のね
パパとママと乗った
初めて乗った
オレンジフェリーのね
遠くの
遠くの海を想いながら
落ち葉や木の枝の
先っぽを
季節がね
季節に見守られた
面河川の水を
眺めていたんだ
お兄ちゃんとお姉ちゃんにね
蛍を観に
家からまだ山の奥へ
連れていってもらった
星がね、星が夜空の色を
埋めてしまうくらい
びっしりと隙間なく
つぶつぶ
つぶつぶに
埋め尽くしていて
つぶつぶの星のせいでね
夜空の色がわからなかった
そんな夜
そんな夜空にね
蛍がふわっと
ふわっと灯ったと思ったら
すっと糸を引くように消えて
その蛍が
服についたり
ほかの蛍が
お姉ちゃんの鼻に止まったり
ゆっくりと点滅して
その蛍が
夜空の星のように
目の前を埋め尽くしていてね
ふわふわしていた
つぶつぶの星たちと
目の前の蛍がふわふわと
つぶつぶして
ふわふわとした
今、
今がね
今に埋め尽くされているのだから
カミキリムシ
カミキリムシを
捕まえなくていいんだ
蛍が
蛍がこんなにたくさんいるのだから
ふわふわと
ワンタンスープをね、
血が繋がっているのに
義理の祖母が作ったワンタンスープ
ワンタンスープのね
ワンタンが
見えなくなってしまうから
蛍の光に埋もれてしまって
見えなくなってしまうよ
血が繋がっているのに
義理の祖母が作ったワンタンスープ
ワンタンスープ
ワンタンスープを
食べられなくなってしまうから
ワンタンスープ
ワンタンスープ
誰でもよかったのだけどね
ワンタンスープのことを
忘れちゃったら
また
また悲しくて
辛くなる
かもしれないから
星のつぶつぶは
サラサラと
川の流れを眺めている
蛍は
ふわふわと
水の臭いを嗅いでいる
蛍はね
蛍は
カミキリムシじゃないから
捕まえなかった
捕まえずに
思い出として
家まで持って帰ることにした
家に着くとね
血の繋がった
ほんもののおじいちゃんに
呼び出されてね
お兄ちゃんとお姉ちゃんと
一緒に呼び出されてね
3人ともおじいちゃんに
大ビンタされた
今何時だと思ってるんだ
と言っていたかな
歯を食い縛れって言われて
力いっぱい
唇を噛み締めていたら
ほんもののおじいちゃんに
唇ではなく
奥歯を噛みしめるように
なぜか
なぜか
優しく言われて
なぜか
言われたと思ったら
ビンタされて
ビンタされて目をあけると
目の前に
目の前に星と蛍が
銀河になって
回っていた
銀河を
蛍と星の光を
川が連れてきちゃった
連れてきちゃ
きちゃいけないのに
連れてきたのかもしれない
ほんもののおじいちゃんの家は
お土産屋さんで
お土産屋さんといっても
万屋みたいに
なんでも売っていてね
朝5時に起こされてね
顔を洗って歯を磨いて
パンを一枚たべたら
階段をね
階段を一階から三階まで
拭き掃除してね
それから
ほんもののおじいちゃんが
薬を飲むための
水差しのね
水差しの水換えをして
家中のゴミ箱のゴミを集めて
外のドラム缶で焼いてね
新聞紙に
火をつけて
火がついて
白い煙をね
煙を
火が飲み込んでいく
火が大きくなると
黒い煙がね
黒い煙が大きくなって
火を飲み込んでいく
立ち昇り
立ち昇って
立ち昇り
立ち上がって
空に散らばって
消えて
消えてしまう
空と
青い空と
煙をね
煙と
青い空は 
煙の中の思い出みたいだった
火の守りをしていると
支配人さんと店員さんが
出勤してくる
出勤してくると
お茶とコーヒーを淹れる
血の繋がっていない
義理のおばあちゃんは
低血圧で11時まで起きてこないから
お兄ちゃんとお姉ちゃんは
ほんとうは
叔父と叔母なんだけど
お兄ちゃんとお姉ちゃんはね
学校に行ってしまうから
店員さんと支配人さんと
一緒にお店を開けるんだよ
棚に被せた青いシートをね
青いシートを
二人でとって畳むとき
畳むときに
畳むときには
息を合わせてね
息を合わせて
真ん中に折り目をつける
上手に
折らないと捻れてしまう
捻れてしまう
シートがね
青いシートが
上手に
上手にうまく
うまく畳まないと
捻れてしまうよ
捻れてしまうから
捻れてしまわないように
うまく折り目をつけて
シートがね
青いシートが
上手に折れたら
次はちゃんと
ちゃんと
ちゃんとお互いに向いあって
慎重に
シートを
青いシート
落とさないように
しっかり持って
シートを
青いシートを
落とさないように
近づいていって
シートを
青いシートを
落とさないように
近づいて
シートを
青いシートを
落としてしまわないように
シートの端と端を
息を合わせて
シートの端と端を
二人の
二人の両手でね
ピッタリと
ピッタリ合わせるんだよ
ピッタリ
ピッタリと
合わさるまで
なんども
近づいて
なんども
離れて
なんども
近づいて
なんども
離れて
なんども
近づいて
開店の準備が終わると
支配人さんは
テーブルをね
ケヤキの木の根っこでね
テーブルを作りはじめる
テーブルはね
根っこの形を
そのままのこしている
電動ノコギリでね
ケヤキの根っこを切る
切りはじめると
焦げ臭いね
臭いが
おがくずに
溜まっていく
おがくずは
電動ノコギリから
飛び出して
そして風に吹かれる
根っこは
この世にひとつとして
同じ形のものとして 
なくならない
根っこが石を噛んでいると
電動ノコギリの歯が
火花を散らして
それも
それもテーブルの一部
一部だからね
真ん中に穴があいたテーブルや
足が3本しかないテーブルや
色んな形のテーブルがあってね
あるから
だから
色々な形があると思って
だから
色んな形があるな
そう思いながら
孔雀の羽根でできた
埃取りで
色んな形のテーブルを
風に飛ばされてきた
おがくずを
孔雀の羽根の埃取りでね
撫でていたんだよ
色んな形をした
テーブルの上に
飛んできた
おがくずを
孔雀の埃取りで
やさしく撫でていたんだよ
色んな形があってね
色んな形の
衝立もあったよ
いちばん大きな
ケヤキの根っこの衝立は
三千万円と値札がついていたよ
面河川はサラサラと
季節や木々の思い出を
流していてサラサラと
川ばかり眺めていると
ほんもののおじいちゃんに
血の繋がった
ほんもののおじいちゃんに
川の石を拾ってきて
店で売るように
指令が届いてね
ほんもののおじいちゃんは
第二次世界大戦で大日本帝国の陸軍の
二等兵として戦って
戦って
上司に殴られ
蹴飛ばされながら
生きて
それでも
生きて
帰ってきた人だから
ほんもののおじいちゃんの言うことは
すべての
すべてが
ほんもののおじいちゃんの
ほんとうの


命令だったんだよ
ほんもののおじいちゃんの家は
お土産屋さんも兼ねているから
村の集落から車で30分くらい
離れたところにあってね
同じ年頃の友達もいなくてね
お兄ちゃんとお姉ちゃんだけが
ほんとうは
叔父と叔母なんだけどね
橋の下で拾われた子と言ってね
毎日
囃し立てて
毎日
囃し立てるから
賑やかに
それも川の流れが
サラサラと
サラサラとね
サラサラと
流れていてね



には
お遍路さんがね
りんりんと
鈴を鳴らして
お遍路さんがお土産をね
お土産を買ってね
拾った川の石も
川の石も買ってくれてね
川の石はね
拾って集めて
店まで
持って上がるだけで
大変だったからね
だから
大変だった
思い出を
思い出を買ってもらって
そう思ってね
そう思うことにしたんだ
ケヤキのテーブルは
大きくて持って帰れないから
思い出をね
色々な形の
思い出のね
形の中にある
気持ちから
支配人と義理のおばあちゃんが
後日に
配達するんだよ、
ときには何日も帰ってこない
ときもあるぐらい  
遠くまで配達していたよ
そんなときは
遠くまでが、
遠くということが、
いつもと違ってね
違うから
違っていることが
とても新鮮で
違うってことがね
孔雀の埃取りで撫でていた
あの
形が違うね
あの
形が違うテーブルの
形の違うテーブルが
もう、
あったところから
なくなってしまった
ポカンとね
穴があいた
あのテーブルがね
もうここには無いんだなと思って
残ったおがくず
おがくずを
眺めていると
なんだか泣けてきてね
涙が溢れてきてね
泣いていると
お兄ちゃんとお姉ちゃんに
ほんとうは
叔父と叔母なんだけど
なんで泣いているのかと
聞かれてね、
でも聞かれても
言葉にね
言葉にならなくて
はじめ君のことや、
ワンタンスープのこと
話そうとしても
誰もいなくなったからね
話そうとしてもね、
言葉にならなくてね、
カミキリムシ
カミキリムシもいなくてね
泣けてきて
泣いていると
お兄ちゃんとお姉ちゃんがね
とうとう
ほんもののおじいちゃんに
理由がわからないけど泣いている
泣いていると告げ口されて
お兄ちゃんとお姉ちゃんが
告げ口しに
しにいったときをみて
おがくずを集めてポケットに入れた
ほんもののおじいちゃんに
呼び出されて
お兄ちゃんとお姉ちゃんに
ほんとうは
叔父と叔母だけどね
引っ張り出されて
なんで泣いているのかと
聞かれてね
血が繋がっているのに
義理の祖母が作ったワンタンスープ
ワンタンスープのことや
カミキリムシ
カミキリムシのことや
それも
誰もいなくなったからね
なにも
言葉にならなくて
ママのことをね
ママのことを
話そうとして
チキンライスのこと
チキンライスのことを
話そうとして
話そうとしたら
誰もいなくなったからね
もごもごとね
口が
口の中が
もごもごして
もごもごとしてしまって
もごもごしていると
涙が溢れてきて
涙がボロボロと
流れだして
ほんもののおじいちゃんに
なんで泣いているのかと
聞かれても
誰もいなくなったからね
川の流れる音が
サラサラと聞こえて
聞こえるから
チキンライスのことを
話そうとしても
もごもごとしてしまって
さめざめと
涙が溢れてね
川の流れる音が
サラサラと聞こえてきてね
なんで涙がでてくるのか
でてくるのかわからない
わからないから
ほんもののおじいちゃんに
なんで泣いているのかと
聞かれているのかな?
もごもごしていると
よそよそしく
よそよそしくなってきて
もごもごしていると
さめざめと
涙がね
さめざめと
涙が溢れて
流れて
誰もいなくなったからね
ほんもののおじいちゃんに
泣き止まないなら
歯を食いしばれと言われてね
もごもごして
もごもごとしながら
唇を噛み締めると、
何も言えなくて
涙だけが溢れて
ボロボロと流れてきて
血が繋がっている
ほんもののおじいちゃんに
どうして泣いているのかと、
聞かれても
唇を噛み締めているから
言葉をだせなくて
誰もいなくなったからね
もごもごしていると
よそよそしく
よそよそしくなってきて
ほんもののおじいちゃんに
唇ではなく
奥歯を食いしばらないと
唇が切れるから
奥歯を食いしばるようにと
優しくね
なぜか
優しく言われると
誰もいなくなったからね
さめざめと
泣けてきて
ほんもののおじいちゃんが
よそよそしく
よそよそしくなって
ポケットの 
ポケットのおがくずが熱く
熱くなったとき
ビンタされた
よそよそしくなるくらいなら
血が繋がっているのに
義理の祖母の旦那さんのほうが
いいかもしれない
それから7年
7年が経って
貴方達は何食わね顔をして
小4の田舎坊主を
田舎の子供になった
幼稚園中退した
子供をね
迎えにきた
川の流れの
流れる音を
サラサラを
奪いにやってきた

それから2年後
ママは
私、本当のママじゃないの
と、
言い残して出ていった
それ
そのこと
そのとき
はじめて知ったから
びっくりしたけど
サラサラと
川の流れ
それは必要な情報だから
それもいいかもしれかい
3回目の義理のママ
ママというか戸籍状の母は
白血病の副作用で
オエオエして
オエオエして
吐いているのに
毎週
鶏のカラアゲをもってくる
毎回
それを隠して捨てるの
大変だった
大変だったんだぞ
だけど
だけど生き残ったから
いいかもしれない
4回目
さすがに家出した
5回目
良い人だよ
なんだかんだで
もう50才になってしまった
でも、
いいかもしれない
2才のとき
稲荷駅
あれはたしか
稲荷駅で別れた
それから一度も会ったことがない
産みの母が
親とは呼ばない
母が
この戯言を読まないことを願う
一応元気でやってるので、
川の流れもサラサラして
みんないいかもしれない










自由詩 いいかもしれない Copyright 為作 2023-02-12 04:27:48
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