祭祀クーラスとエインスベル(六)
朧月夜

「ご主人様、どうなさいましたか?」駆け付けた衛兵の一人が口を開いた。
「ここにいらっしゃる方々は、何者なのです?
 貴方を害そうとしているようには思えませんが……」
「何を言う。この者たちの敵意が感じられないか?」と、祭祀クーラス。

「分かりません。わたしどもには、この者たちが敵だとは思えないのです」
「無能な連中め! 待てよ、エインスベル。魔法を使ったのか?」
「当然です。身の安全は確保させていただきました。
 彼らには、エルム・ネストの魔法をかけました」

「ではなぜ、わたしにはエルム・ネストをかけなかった?
 お前をすぐさま殺せる力が、わたしにはあるのだぞ?」
「それはどうでしょうか。祭祀ドルイドの力と魔導士ウィザムの力の差、確かめますか?」

「……それでは、どうしてか?」祭祀クーラスが唇を噛む。
「貴方の本心を知るためです。そのためには、わたしたちは敵同士でなければいけません」
「コントロールされた心は、本音を吐かないというわけか」


自由詩 祭祀クーラスとエインスベル(六) Copyright 朧月夜 2023-02-10 18:13:40
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クールラントの詩