独り言2.6
zenyama太郎

○「青春の回想3」

県都一の繁華街で飲みまくって
終電に乗り遅れ、タクシー代も高くつくなあ!
と思っていたら
ふと近くの友人のアパートを思い出した
歩いていくと二階建てのアパート全体が
深い闇につつまれていた
そんな寝静まった中にもかかわらず
酔った勢いで友人のアパートの戸をたたいた
まわりの住民にも聞こえるような酔っぱらい声で
何度も叫んだが
いっこうに電気がつかない
おかしいなあ?飲みにでも行っているのかなあ?
大声を繰り返していると
まわりの住民から怒鳴られるかもしれないと思い
帰ろうと思ったが念のため戸のノブを少し回してみた
するとなんと回るじゃないか!
いるのかなあ?それにしては物騒だなあ!などと思いながら
中に入った
そして目の前の障子を開けようとしたとたん
暗闇の中から「開けないで」という若い女の声がした
声は小さかったが絶対ダメという必死感があった
僕は一瞬で酔いがさめてしまった
そしてさまざまな想像が脳を駆けめぐった
その後静かに帰路についた
しばらくして友人は結婚した
その夜の開けないで!といった彼女が
今の奥さんかどうかは今だに定かではない
また聞こうとも思わない
どちらにしても青春だから






自由詩 独り言2.6 Copyright zenyama太郎 2023-02-06 10:46:48
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