力動
ひだかたけし

夜闇に沈もうとする
この白壁の小部屋に
忍び込む肢体 柔らか

球形の乳房、貫く直線
撓り揺れる音響の激化
わたしは知らない、
窓辺に匂い立つ深紅の薔薇

夜闇に浸されゆく
この白壁の小部屋に
浮き上がる女の白顔 
俄に霊性 帯び輝き

無限の塵、暗黒の物理宇宙
彷徨よい郷愁の旋律 絹の響き
わたしは知覚する、
床に積み重なる古びた書籍の存在

在るものがある、のはアタリマエ
と貴女が言う間に 力線、貴女を貫き

夜闇に冒され充満した
この白壁の小部屋に
炸裂する力動 荒れ狂い

在ること、響き放ち
あるもの、あるもの 響き在る

ただ、夜闇

無限の奥行き、保ち 蠢き在り








自由詩 力動 Copyright ひだかたけし 2023-02-04 19:01:45
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