エインスベルの反逆(十二)
朧月夜

エインスベルは、ジギリス・ア・アルヌーに直接の面会を申し込んだ。
それに対するジギリスの対応は、予想通り冷たいものだった。
「エインスベルよ、脱獄者よ。汝の罪は今でははっきりしている。
 この国に対する攻撃。脱走。言い訳のしようはあるまい?」

「ジギリス様。わたしが罪人であるというのは、違います。
 すべては、祭祀クーラスの策謀によるもの。わたし自身は、
 クールラントへの忠誠を誓っております」
「どうかな。此度の戦争が始まって以来、汝は姿を隠していたではないか?」

「それには、理由があるのです。アイソニアの騎士を味方につけるためです」
「アイソニアの騎士? 今では敵国の千人隊長ではないか!」
「それは違います。アイソニアの騎士は礼節を重んじる人物。

 クールラントに対しても、忠誠を誓うでしょう。確実です」
「しかし、我が国の諜報機関によれば、彼は未だに身を隠しているという。
 これには、身を隠さなければいけない裏事情というものがあるのではないか?」


自由詩 エインスベルの反逆(十二) Copyright 朧月夜 2023-02-03 17:08:28
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クールラントの詩