逆瀬の子
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 谷を降ると 邑があり
 邑の奥には 娘がおり

 鳥に囲まれ 竿を矯めていた

 旗を嘗めるのは 炎
 少年を 馬に 飼わせていた

 閉じこめられたんじゃない
 自分から 入ったんです
 それで火に 焙られようと 思って

 欄干で 赤いバランスとって
 逆さまに ナイフ立て

 冷たく くらい
 川うおが群れて 死ぬ
 群れて飲まれようって 言って
 縄に曵かれ
 それから やっぱりひとり 今が
 群青 託しきれなかった 逆瀬

 障子の穴から 子守唄

 逃げたんでは ありません
 欲しかっただけ 今が つよく
 刻まれたかった
 薄くのこされた

 蓋を閉じると 泡があり
 風は祭りの 行きどまり

 甲羅をこぼれる 粒があり





自由詩 逆瀬の子 Copyright soft_machine 2023-02-03 16:28:23
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