冬眠
soft_machine

黙って眠っていたかったのに
喋らされた
火焔をつめた この水殻に
うまく着火してよ 音をひく
かくん うなづいて

眠りながら
なにか もの欲しそうだったから
感情に群がる ほそ長い舌が
匂いに挿し込まれ 泡ごと管に
こまかく漉かれ
灰が硬くて
甘い手ざわりも
曝されたというのに

もっと喋らされる
熱がこもって蕩く
苦い独白で包まれた
こころの粒
夢に喰い破られて
動きを止めても 気づかれもしない

雪のぬくみに剥がされる眠り
不安な目覚 眩しさ
だから喋る

春が来るなんて 信じない





自由詩 冬眠 Copyright soft_machine 2023-02-02 16:09:24
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