オスファハンの戸惑い(二)
朧月夜

「ドラゴンたちは、ハーレスケイドから降臨したのです」と、オスファハン。
「やはりか。しかし、ハーレスケイドのことは、我が国においても、
 一部の人間にしか知られていない。公にはなっていないことだ」
「いえ、違います。実は、一人の盗賊がハーレスケイドを訪れたのです」

オスファハンは、苦渋に満ちた表情を見せながら言った。
「例の、クールラントの盗賊のことか?」と、オアシム。
「はい。しかし、わたしはハーレスケイドの支配者たる、
 エランドル・エゴリスには会うことが出来ませんでした。彼の心裏は計りかねます。

 今、ライランテ大陸に戦火をもたらすことが、彼にとってどんな意味を持つのか。
 あるいは、第二の言語崩壊を狙っているものとも思われます。
 彼の人物にとって、世界の行く末は、些末な事柄なのかもしれません」

「人間を屠ってもか? そして、無機的な世界の王となるのか?」
「いえ、彼の元にはドラゴネイアスたちが存在しています。
 もしかすると、新たな秩序、新たな世界を構築しようとしているのでは……」


自由詩 オスファハンの戸惑い(二) Copyright 朧月夜 2023-01-27 23:18:34
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クールラントの詩