オスファハンの戸惑い(一)
朧月夜

ライランテ大陸では、すでにあちこちで戦火の炎が立ち上っていた。
ドラゴンたちを倒す者、逆に味方につける者、
それらの者たちが集まって、戦争とも内戦ともつかない様相を、
各国は呈していたのである。そして、オスファハンは戸惑っていた。

ヒスフェル聖国の聖王であるオアシム・ラ・ハグールの前で、
老魔導士であるオスファハンは忌憚のない意見を述べた。
そこには、国務大臣であるナジェス・ガランドゥも同席していた。
「今回のドラゴンの降臨は、各地に混乱をもたらしています」

「うむ。それは承知している。領民のなかには、
 これが神々による天罰だと考えている者もいる。厄災だと」
オアシムは慎重に言葉を選びながら、オスファハンに答えた。

「領民たちの不安も分かります。ここはアーゼン・クラウトに任せてはどうでしょう?」
「言論統制をするということか? だが、国家間の小競り合いはすでに始まっている。
 ドラゴンたちがどこから現れたのか、領民たちは疑念に駆られているのだ」


自由詩 オスファハンの戸惑い(一) Copyright 朧月夜 2023-01-26 22:49:50
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クールラントの詩