イリアスを尋ねて(五)
朧月夜

「とにかく私は、オーバ・ニーチェに当たりをつけてみます。
 戦争が未だに激化していない現在なら、イリアス嬢もきっと無事でしょう。
 祭祀クーラスは、依然として彼女を駒として考えていると思えます」
「ここは、お前の盗賊としての能力に期待するしかないな」

そして、ヨランは変装をしてオーバ・ニーチェの中に取り入った。
そこで分かったのは、イリアスはまだ生きているということだけだった。
ひと月の時間が経ち、ヨランは一つの情報を手にしていた。
その間、ヨランはエインスベルにも連絡を取る。

「何をしていたのだ、ヨラン? アイソニアの騎士は無事なのか?」
エイスベルは、老人の格好をして腰を曲げている、ヨランに尋ねた。
「よく私だと、分かりましたね。エインスベル様」と、ヨラン。

「当然だ。何年お前と付き合っていると思っている。
 戦士エイソスにも挨拶をしていくと良い」と、エインスベル。
「いえ、それは遠慮しましょう。祭祀クーラスが何を考えているのか、分からないのです」


自由詩 イリアスを尋ねて(五) Copyright 朧月夜 2023-01-26 22:48:07
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クールラントの詩