イリアスを尋ねて(二)
朧月夜
イリアス・ナディは、バルケスの塔という廃屋に幽閉されていた。
この一か月間、祭祀クーラスはイリアスの存在を隠し続けていた。
しかし、アイソニアの騎士は容易にその姿を現さない。
「アイソニアの騎士との連絡がつけば……」クーラスは呟く。
それに対して、フランキスは傲然として言った。
「イリアスはもう、用済みなのではありませんか?
ライランテの各地では、ドラゴンたちによる攻撃が続いています。
今はまだ、各国内でドラゴンたちと戦っている最中ですが……」
「そうだ。魔導士たちがドラゴンと共闘し始めた時、
このライランテの秩序は狂うだろう。しかし、イリアスの存在は貴重だ。
うまくすれば、アイソニアの騎士を味方につけることも出来る」
「ハッジズに送った書簡はどうするのですか? 彼も無能ではありますまい。
それに、彼の子であるクレールは、政治の才はないとされています。
ハッジズは、ドラゴンたちとの戦闘の前線に立つでしょう」
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クールラントの詩