冬眠
タオル


液晶のなか目覚めたように
数字が淡く点滅する 淡くて少し掠れていて
なぞる 指がつめたい

わたしはまたほどけようとする
全部がいちぶ いちぶは全部のごとく移ろい
そうか海は個と全の明滅だと
光り合う雪の中で
飛び込む場所を探った

冬眠に任せ 冬を知らない顔で明るい色の芽を食むことができるなら
─でもそんなのは人間業でない


痛いと思ってほしい
全部死んでいくのに生きている


永遠につづく冬眠を傍目に
デジタルの数字は液晶のなかで溶けていく
 海でも雪でもなく デジタルにもなりきれないひとは





自由詩 冬眠 Copyright タオル 2023-01-25 19:27:41
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