こないだの空は
坂本瞳子

そして今日もまた
寒空が拡がる
いや
大空に寒さが拡がると
そうゆうほうが正確かもしれない
灰色が
黒くもなく
白くもなく
濃紺に近いコバルトでもなく
暁の明るさを伴わず
哀しみを湛えたように
悲しい染みで溢れた心のように
薄汚れた水たまりのようでもあり
涙の滴を雨垂れのように降らせることもなく
ただそこに拡がる灰色が
無限に
この世界が終わってしまうのではないかとさえ
思いたくなるような
灰色が
きっとこれは誰かの悲しみ
声に
言葉にならない
掻き消したいほどの
ただの灰色



(RIPYT.RS/HH=OMY)


自由詩 こないだの空は Copyright 坂本瞳子 2023-01-23 22:56:12
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