ラゴスの動向(六)
朧月夜
議論の行き先が見えない時、そこに必要とされるのは、
確かなカリスマを持ったリーダーである。すなわち、ラゴスの国王アウゼル。
「両者の言うこと、たしかに分かる。このライランテ大陸においては、
ラゴスは小国だ。お世辞にも大国とは言いかねる」もっともな意見だった。
「では、どうか。海外領土から兵力を招き寄せ、この国の防衛にあたるというのは。
海外には、およそ六万人の兵士たちがいる。これをアースランテへの牽制とすれば、
かの国も容易に拡大路線はとれまい。四国統治によるアースランテの平和も、
保たれるというわけだ」アウゼルの意見は、ケンパとシュランク、両者の中間を行く見解だった。
「予備兵力を招集する、という点においては賛成です」
「アースランテと即座には事を構えない、という点において賛成いたします」
シュランクとケンパは、それぞれに返答した。お互いに睨み合いながら。
「先の戦争において、アースランテは侵略国家だった。しかし、此度はちがう。
アースランテは、国民の総意において、国土の回復を望んでいるであろう。
このような民を敵にするのは、手ごわい。両者とも、くれぐれも油断するな!」
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クールラントの詩