ラゴスの動向(五)
朧月夜
「そのエインスベルです。我が国の諜報機関、ヨアリブによれば、
エインスベルは、クールラントではいささか厄介な立場に立っています」
「知っている。監獄に収監されているのであろう?」
「されていた、と言うべきでしょう。彼女は、脱獄したのです」
「そして……」と、再びケンパが言う。
「エインスベルは野に下りました。もう、彼女を引き留めるものはないのです」
「それはつまり、エインスベルがいずれかの国の傭兵になるということか?」
「即断はできません。しかし、その可能性は大いにある。もちろん、ラゴスは例外です」
「エインスベルは、かつて黒色槍兵団のトップたちを倒した。
しかし、ライランテ戦争を共に戦った以上、遺恨はないのではないか?」
「そうです。しかし、アイソニアの騎士に付くということはありえましょう」
「ふむ。そなたの言うことにも一理ある。要は、アースランテが、
四国統治下の枠内から外れなければ良いのだ。しかし、牽制のみで、
アースランテの動向を阻むことができようか?」シュランクには、やはり疑念が残った。
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クールラントの詩