ラゴスの動向(一)
朧月夜
アースランテがファシブルと事を構えたという報は、ラゴスにも伝わっていた。
だが、軍国ラゴスは静観の構えを保っていた。
ライランテ戦争後のアースランテ四国統治が、
このままでは揺らぎかねない、という危機感はラゴスにもあった。
しかし、国王アウゼル・ローガンテは、アースランテと即座に戦争をする、
という構えは見せなかった。彼が思っていたことは、こうである。
(言語崩壊によって、一つになったこのアースレジェの文化と言語が、
再び分かれ分かれになる時が来たのだろうか。今はその時か?)
この世界、ヨースマルテは、今では魔法が席巻している。すべてを導くのが魔導だ。
一方のアースランテは、武力を頼りにこの世界を支配しようとしている。
それは、必ずしも理にかなったことではない。しかし、本当にそうか?
(あるいは、人間という種そのものが衰退へと向かっているのではないか?
神々はどんな意向をもって、この世界に君臨しているのか?)
アウゼルは、来るべき次の世界に足を踏み入れようとしている一人だった。
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クールラントの詩