祭祀クーラスの思惑
朧月夜
祭祀クーラスは、アースランテとファシブルが接近しつつあることを知らない。
イリアス・ナディの身柄を鍵として、アースランテとの連合が可能である、
そう判断していた。その判断は、甘かったと言えるだろう。
国家とは、それ自体が生き物のようなものなのである。
そこにおいては、個人の意志や方策などは、意味を持たない。
アイソニアの騎士を味方につける、そしてアースランテをも、
などという都合の良い論理は通じないのである。
祭祀クーラスは、その点において盲目であった。
祭祀クーラスの元には、アースランテがファシブルと一戦を構えた、
という報告が入ってきた。「よし!」祭祀クーラスは心のなかで呟く。
(これで、クールラントの当分の平和は保たれた)
しかし、そのような淡い期待はすぐに打ち砕かれることとなる。
ライランテ大陸の全土に、ドラゴンたちが舞い降りたのである。
それは、幽冥界ハーレスケイドから呼び寄せられたドラゴンたちだった。
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クールラントの詩