Winter Dawn
ちぇりこ。

冬の明け方は
張りつめた
無数のピアノ線が
地面と空を繋いでおり
知らずに触れてしまうと
冬の心音を奏でてしまう
透明な波のように
冬の涯てには
凍りついた楽章が打ち寄せる
夜が明けると蒸発してゆく楽章は
未完成のままで
四分休符の群れだけが
影絵になり、旋回する
遮るもののない
涯ての空の向こう側
心音は届いていますか
鳥たちは去りましたか
いいえ
知っている鳥たちは
じっとしています
電線に、屋根の上に
きみたちは飛ばないのですか
もうじき夜が明ける


自由詩 Winter Dawn Copyright ちぇりこ。 2023-01-18 21:54:06
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