浮ついているのか
坂本瞳子
心が浮つく
紙に貼られたセロハンテープの
右上の部分だけが少しめくれている感じ
だのにひっぺがすことができない
してはいけないから
左手の薬指の腹で撫でるようにすると
奇妙に心地良かったりして
喉の奥の方がヒリリとする
だのに触れることができなくて
スプレーの霧がうまくあたらなくって
ヒリリが地味にしばらく続いているような
そんな感じに
似ているような
似ていないような
そこはかとなく
そんなことを考えてみたりして
夜はさらにふけてゆき
時間を持て余したりするのだけれど
なんとなく落ち着かない感じは
いまだそのまま