戦士エイソスの苛立ち(二)
朧月夜
エインスベルは虹の魔法石を持っているという。
それは、すべての魔導士たちの魔力を無効化する魔法石である。
ならば、エインスベルがヒアシム・カインの魔法を発すれば、
戦いの決着は一瞬でつくのではないか?
祭祀クーラスは、むしろエインスベルを利用すべきだったのだ。
クールラントをライランテ大陸の覇者とするのであれば。
しかし、祭祀クーラスはエインスベルを葬ることにこだわっている。
彼が一番でなければ、気が済まないのであろう。
だが、国家の行く末を考えた時、エインスベルは強力な駒となる。
それを知らないクーラスであるまい。だとすれば、
祭祀クーラスは戦争の終結ではなく、さらなる混沌を望んでいるということになる。
戦士エイソスは、クールラントの実質的なリーダーである、
祭祀クーラスの心の内を計りかねていた。(よもや……)と思うのである。
祭祀クーラスの望みとは、クールラント以外のすべてを滅ぼすことか? と。
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クールラントの詩