戦士エイソスの苛立ち(一)
朧月夜

戦士エイソスは己が無力を感じて苛立っていた。
ランランテ戦争における無力、クシュリーの誘拐に関する無力。
世界を動しているのは、自分ではない、と感じる。
では、誰が世界を動かしているのか?

それは祭祀クーラスであり、エインスベルであり、
ヨランが幽冥界で会ってきたというエランドルである。
エイソスは、リグナロスとエインスベルからおおよその事情は聞いていた。
しかし、納得できないものがそこにある。

(世界から必要とされているのは、俺ではないのか?)という思いである。
自分一人であれば、クシュリーすら守り切れなかったであろう。
そして、自分は祭祀クーラスの陰謀に加担することになったかもしれない。

しかし、今回はエインスベルに救われた。「今回も」と言うべきだろうか。
戦争は、間近に迫っている。そのことを、エイソスも肌で感じていた。
(次の戦争で武勇を立てる、それが果たして平和へと続くのだろうか?)


自由詩 戦士エイソスの苛立ち(一) Copyright 朧月夜 2023-01-15 16:17:36
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クールラントの詩