いくつもの運命(五)
朧月夜

クレールは、ハッジズ・ア・ラ・ガランデの嫡子だった。
ハッジズには五人の子供たちがいたが、
クレールはそのなかでも最も武勇に優れていると言われていた。
しかし、政治力については未知数である。

その父親、ハッジズも、クレールを軍隊の長には据えても、
アースランテの行く末を任せられるかどうかについては、
迷っていたのである。
そんな彼の元に、クールラントからの親書が届けられた。

「我が国では、あなたの親戚、王族の一人である
 イリアス・ガ・ラ・ハルデンを預かっている。ついては、
 彼女の解放について、あなたがたと話し合いたいものである」

クレールもその書簡を父と一緒に見ていた。
(イリアス? あのイリアスか?)クレールは目を見開いた。
「なぜ、彼女がクールラントなどに……」彼の運命も狂い始めていた。


自由詩 いくつもの運命(五) Copyright 朧月夜 2023-01-10 13:21:37
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クールラントの詩