寝息は立てない
石川和広
どこに
どこへ?
見あたらない確かなものって何?
環状線で、きた
絶望のままにか
よれよれのTシャツで
ふらふら歩く
悲惨の影も見当たらない曇り空の遠く
頬がピクピクけいれんする
指先もどこかを求めて脱力したまま
そしてまた空と地の間を
居心地悪くもぞもぞ寝る
今に閉じ込められたまま
(本当は今は開かれているはずなのに)
遠望する未来
とおくどこかにあるようなワタシの
ワタシの雨
今雨が降っている
緑の葉を濡らしながら
雨の音と粒の境にワタシのいる場所がある
家はあるけどおぼろに濃密に
静かに静かに
寝息は立てない
旋回する夜空にまたひとつ痙攣が加わった
今は雨
今は雨
雨は遠くワタシに近い