二つの知らせ(一)
朧月夜

ハッジズは、アースランテの首都ハンザガルテに帰還した。これで、
アースランテの南方地域、ラレンテンやギージェの治安は安泰だろう。
後は、召喚獣の数を増強し、ファシブル軍を完全に排斥する。
「マリアノス。いや、ファシブルの官僚たち!」

ハッジズ・ア・ラ・ガランデは、息子のクレールに言った。
「今度は、お前を我が軍の首領に据える。
 千人隊長の肩書はまだだが、わたし直々の親書を与えよう」
「はっ。しかし、兵たちが従いましょうか?」

「我が軍の兵士たちは、今勝利に酔っている。
 地位よりも力を求めようとしているのだ。
 そして、お前にはその資格がある。クレールよ」
 
しかし、その時一つの知らせがハッジズの元へと届いた。
元第三王室の娘である、イリアス・ナディが誘拐されたという知らせである。
これは、ハッジズにとっては寝耳に水の出来事だった。


自由詩 二つの知らせ(一) Copyright 朧月夜 2023-01-05 23:13:54
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クールラントの詩