ハッジズの野望(十)
おぼろん

国母マリアノスは、ほうほうの体でファシへと帰り着いた。
ファシは、王国ファシブルの首都である。
大臣たちが、マリアノスを迎えた。しかし、
「この女王、いつまで生きられるか……」大臣の一人は呟いた。

「今すぐ、アースランテからファシブルの民たちを退場させましょう。
 アースランテには、密偵網があります。
 彼らにとって、無辜なる民、軍人、その違いはありません。
 アースランテは例え焼き討ちをしてでも、国土を取り返すつもりです」

「分かっている。先の戦争がすべてを滅茶苦茶にした。
 いや、エインスベルがわたしを解放したとき、
 すべては悪い方向へと向かっていたのだ……」
 
マリアノスは、いつかは再びエインスベルとも対決することになるのでは、
そう思っていた。その確信は現実のものとなる。
しかし、今は話を前に進めよう。この話には、イリアスが関係している。


自由詩 ハッジズの野望(十) Copyright おぼろん 2023-01-05 23:12:34
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クールラントの詩