ハッジズの野望(十)
朧月夜
国母マリアノスは、ほうほうの体でファシへと帰り着いた。
ファシは、王国ファシブルの首都である。
大臣たちが、マリアノスを迎えた。しかし、
「この女王、いつまで生きられるか……」大臣の一人は呟いた。
「今すぐ、アースランテからファシブルの民たちを退場させましょう。
アースランテには、密偵網があります。
彼らにとって、無辜なる民、軍人、その違いはありません。
アースランテは例え焼き討ちをしてでも、国土を取り返すつもりです」
「分かっている。先の戦争がすべてを滅茶苦茶にした。
いや、エインスベルがわたしを解放したとき、
すべては悪い方向へと向かっていたのだ……」
マリアノスは、いつかは再びエインスベルとも対決することになるのでは、
そう思っていた。その確信は現実のものとなる。
しかし、今は話を前に進めよう。この話には、イリアスが関係している。
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クールラントの詩