ハッジズの野望(九)
朧月夜

ファシブル軍の兵士たちは、何が起こったのか分からなかった。
辺りには、闇の結界が張り巡らされていた。
そして、少人数の集団から駆逐されていく。
ラーディガンは、この戦果に満足だった。

(ライランテ大陸を、このわたしが支配する。
 ハッジズは、我が傀儡にすぎない。しかし、
 飼い犬の手綱はしっかりと握りしめておくことだ。
 俺は、ハッジズの対等な契約者なのだ。今のところは……)
 
カガイデの丘の戦いは、アースランテ軍の勝利に終わった。
ファシブルの国母であるマリアノスは、命からがら戦場を脱した。
後陣営を任されたのは、ゴーゲル・ライノリスである。

彼は勇敢に戦い、幾頭かのドラゴンを葬った。
彼の剣技は、アイソニアの騎士にも劣らないものだった。
だが、彼はアースランテの一兵士によって殺された。


自由詩 ハッジズの野望(九) Copyright 朧月夜 2023-01-05 23:10:19
notebook Home
この文書は以下の文書グループに登録されています。
クールラントの詩