潜むもの
ひだかたけし
暗闇のなか
戸棚上の天井傍、
わずかに開いた扉から
のぞく闇の奥、
蠢いて蠢いて蠢いて
なんだろう?
暴力的な亀裂、入っていく
白壁は躍り呻き毒を吐き出し
どよめくような粘着質な造形
頭蓋中央でこねくりまわされ
透明な絹糸のように揺れ動く音響、
脳髄突端から伸び広がる
力線、無数無数走り抜け
この白い小部屋にて、
宙空から貸し与えられた
わたしという寂寥と郷愁、
凍り付いた滝の流れのように
ただひとり 取り残される
自由詩
潜むもの
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ひだかたけし
2023-01-04 17:59:30
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