コロナ家族
ホカチャン

90代の独り暮らしの伯母さんの
ワクチン接種のために
県庁所在都市に住む息子夫婦が帰ってきて
伯母さんを車で医者に乗せていったら
コロナ感染が判明した
同時に息子夫婦は濃厚接触者になった
伯母さんは自分の部屋で過ごすことになった
が、なかなかそれが難しい
無症状ということもあって
息子夫婦のいる居間などにしょっちゅう出てくる
「どうしてそんなに家の中を動き回るの?」
と息子が聞いたら
「だってじっとしていたら、足の筋肉が弱って歩けなくなるだろう!。」
と答えた
自分のことしか考えていなくて
俺たちにうつすということは全く考えていないと
息子が嘆いた
何日かすると
息子の腰が痛くなりだした
病院で診てもらうと
コロナ感染と持病の心臓が悪化していた
しかし、正月ということもあって
なかなか受け入れてくれる病院が
見つからない
数時間後やっとK市の病院が受け入れてくれて
救急車で連れていかれた
息子の嫁と僕で救急車の後をついていった
診察後入院できなかったら
僕たちの車で乗せて帰ってほしいといわれたからだ
自宅へは救急車は使えないということだった
そこで2,3時間治療してもらった後
今度はもっと大きな病院に救急車で運ばれた
検査した結果心臓の弁の老朽化が
原因であるといわれた
自宅に帰りついたのは
朝の5時頃だった
テレビに映る正月の賑わいが
全く別世界に思えた
10万人の感染者がいたら
10万通りの苦しみや悲しみが
そこにある








自由詩 コロナ家族 Copyright ホカチャン 2023-01-04 07:46:44
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