ハッジズの野望(一)
朧月夜
そのころ、ハッジズ・ア・ラ・ガランデは、
息子であるクレールとともに、ファシブルの軍勢と対していた。
それは、アースランテの国内における、
ファシブル領の領民たちが反旗を翻していたからである。
第一次ライランテ戦争の後、
アースランテの国内は四つに分割された。
そこから逃れた民もあり、そこへと進駐してきた民もあった。
戦争とは、人の流入・流出をも左右するものなのである。
「おのれ、ファシブルめ。奴らはこの機会に、
アースランテを亡きものにしようとしている。それを許すまじ!」
ハッジズは叫んだ。それに対して、息子のクレールは、軽く諫めて言った。
「慎重になさいませ、父上。ここで、ファシブルと全面戦争に突入するのは、
得策ではありません。我が国の領土を、取り戻すだけで良いのです」
「そうだな。民を悲しませるわけにはいかない。殺されるべきは、軍人だけだ」
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クールラントの詩