五行歌、夢中の星界にて(改訂)
ひだかたけし

西陽射す
放課後の校門の前
茜に染まりながら
歌、うたっている
あの子はほんとは誰だっけ?

  *

思考し感情し意志する
この私という存在は
いったい何処からやって来たのか
気付けば全く謎のまま
緑の芝生の上に座っている

巻き込まれる
巨大な律動のうねり
知覚と思考が一気に直観される、
五感の未知に
突き抜ける

私は誰?
問い掛けながら
待機する、
この熱し広がる
夢中の星界にて

この世界の
震えるような
実在感に
打ちのめされ
宙、仰ぐ

切り裂くのだ
白く波打つ未知を
太陽と大洋が溶け合う永遠を
光のなか躍り生きる叡知
存在している、私は確かに

  *

黄昏れの
影、限りなく伸びる校門の前
あの子未だ、歌うたっている
迫る夜闇に私は怯え、
かつて在った家路を急ぐ






自由詩 五行歌、夢中の星界にて(改訂) Copyright ひだかたけし 2022-12-27 19:10:17
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