イリアスの矜持(七)
朧月夜

イリアス・ナディは自分の運命を受け入れていた。
アイソニアの騎士が己の命を全うしていても。
十三歳という年齢を比しても、アイソニアの騎士は、
世界の安寧を守ろうとしていたのである。

「グーリガン様は、世界を救おうとしています。
 それには、彼のかたきとしてあだなす、敵の存在があります。
 仇敵というのは、いつでも現れるものでしょう。
 しかし、わたしはグーリガン様を信じます」
 
「グーリガンさまは、それらの敵を、必ず屠るのです。
 そこには、時間というものが運というものを差配しています。
 そこには、運命というもの、時間というもの、それがすべて成行を司どっているのです」

「ふっ、戯言ですな。アイソニアの騎士は、何をも信じていません。
 無論、あなたに関してでもです。あなたは、最初に幸福を求めるべきだったのです」
「騙されませんよ。あなたは、わたしを囮にして、グーリガン様を招き寄せているのです」


自由詩 イリアスの矜持(七) Copyright 朧月夜 2022-12-26 15:12:19
notebook Home 戻る
この文書は以下の文書グループに登録されています。
クールラントの詩