イリアスの矜持(五)
朧月夜
「アースランテは負けません。クールラントにも、
ラゴスにも、ファシブルにも……」
「あなたは、一つ事を忘れています。ヒスフェル聖国です」
「ヒスフェル聖国……」イリアスは息を呑んだ。
「実は、クールラントにとっても、ヒスフェル聖国は、
最大の敵なのです。かの国は、何を考えているのか分からない。
あるいは、魔導によって、この世界を支配しようとしているのか……」
「魔導とは、危険な手法です」
「左様。この世界は祈りによってのみ、導かれるべきものです」
「そのために、アイソニアの騎士、そしてエインスベルが、
葬られるべき存在だと考えているのですね……」
「あなたは、わたしの予想以上に多くのことを知っていらっしゃる。
あなたが成人に達していれば、交渉の糸口もあったでしょう。
しかし、今、あなたはその命を賭さなければいけない」クーラスは笑った。
この文書は以下の文書グループに登録されています。
クールラントの詩