焼きそば
atsuchan69

母ちゃんの作る
貧乏な焼きそばが好きだった
ソース色の麺にまぶした
深緑のアオサと、
麺にちょこっとだけ乗った
紅い千切りの生姜も
それはそれは綺麗だった
豚肉じゃなく、
海老でも、
烏賊でもなくて、
竹輪の輪切りともやしの
真っ黒なフライパンで作った
熱々の焼きそばだった
それと指でちぎったキャベツが
油にまみれてウスターソースを弾いていた
さらに鰹節をふりかけ、
マヨネーズは細く網目状に描いて
それらをぜんぶ、
ぐちゃぐちゃにまぜてから喰らうんだ
きっと冷めたら不味いから
誰かに食べられちゃうと困るから
その熱々をあわててかきこんだ
いっきに食べ終えたらゲップして
ああ、
コップ一杯の水が
どんなに美味かったことか


自由詩 焼きそば Copyright atsuchan69 2022-12-22 13:06:29
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