祭祀クーラスとフランキス(一)
朧月夜
フランキス・ユーランディアは祭祀クーラスの面前に控えていた。
心のなかには、エインスベルに言われた言葉がよぎる。
「祭祀クーラスを暗殺してほしい」と。
それは、フランキスが心から戦慄した瞬間だった。
また、「この国の代表はクーラスだ。だからこそ、殺す必要がある」
という言葉も思い出していた。
(わたしの雇い主は祭祀クーラスだ。いや、だった。
しかし、エインスベルを主とした時、わたしに一体何が訪れるのか?)
フランキスは、その衣服のなかに懐刀を隠し持っていた。
いざという機会があれば、それで祭祀クラースを襲うつもりだった。
(この世界の覇者になる、か。わたしにそれが出来るのか?)
フランキスは、思わず身震いするのを覚えた。この、眼前にいる祭祀(=ドルイド)が、
それまでになく、恐ろしい存在のように思えたのである。
「お前は、クシュリー・クリスティナの誘拐に失敗したそうだな?」
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クールラントの詩