朝にしずまる
ひだかたけし

朝に歩き進む街の道、
東京は今日も青に包まれ

眉間に皺寄せ、歩き過ぎる人
落ち窪んだ目をギョロつかせ、歩き過ぎる人
目を細め忙しく、歩き過ぎる人

突然、目が合った

澄んだ瞳が僕を追いかける

ママチャリに乗せられた幼子が、
ビニールシート越し僕を見つめている
その両眼がまるで一つの生命体のように
僕を追いかけゆっくり動くのを僕は目撃している、
驚きながら心やわらぎながら

そして僕は感じ取る、白いマスク越し

幼子の両眼がその動きととも
ゆっくり緩み恥ずかしげに微笑む

線形時間が垂直に裂ける!
ひとり幼子という存在が浮き彫りになる!

感覚される世界の臨界点、
境が溶ける、境が渦巻く、

無上の瞬間 畏れの時



朝にしずまる街の未知、
東京は今日も青に包まれ














自由詩 朝にしずまる Copyright ひだかたけし 2022-12-19 17:23:02
notebook Home