alarm or snooze
あらい

雪が溶けて春が来る頃に浮かぶ
口を噤んだ無垢の棘を重ねた
片羽を雑草で包んで置いた
サイレンをレコーダーに繋いで
逆巻きで転がせたらいい

たわいないみちの片隅で声を落とした
何事もなく過ぎ去る日々に
風のささやきに瞳を奪われるとき、
イヤホンを片手に奔りだした
きっと鏡の中、平行線の目眩が
木漏れ日に焼き付くような乱反射に
溢れていく/明け暮れる今日に
はち切れんばかりの笑顔に似合わない
寂れた斜陽はマスキングされ何も語らず、
鈴と燐と輝く先は夜もすがらと頷いた

花は萎んだのか
風船は破れたのか
雨は已まずにいて
硝子が砕けたよう

昨日まで眺めていた万華鏡のホロスコープ
センチメンタルと名付けたメトロノーム
ここは易しい遊園地 手回しオルゴールよ
ユートピアとして屈託もない絵空事よ


自由詩 alarm or snooze Copyright あらい 2022-12-18 20:20:56
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