静物
平井容子
1.義眼
夜明けは午前7:00をまわり
すでに傷を負ったひかりの窓辺で
いつまでも腐らない
義母のはやとうり
2.かいふく
腹のなかで
白湯がわいている
はちみつのような
孤独をとりこんで
洗濯物がはためくたびに
そのうらにいる人
つまり海を思った
3.ふゆふゆと
延びきったラーメンと
固すぎたたまご
布団のなかでは
まだあの約束があたたまっている
まろびたキツチンに1羽の蝿
窓のむこうはみぞれて
外からはだれも来ない
外からは
だれも
自由詩
静物
Copyright
平井容子
2022-12-18 14:16:25
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