夜の夜中に散る花は
秋葉竹




  

夜の夜中に散る花は
氷のような冷たさで
涙のように儚くて
子猫のように鳴いていた

ちいさな川に落ちたとき
あっ、
とかすかに声をあげ
そしてそのまま沈むとき
静かな目のまま消えてゆく

何百枚の花びらが
真雪のように降りそそぎ
小川はすっかり透明な
悲しみ色に染まりきる

夜の夜中に散る花は
ひらひらひらひら舞いながら
甘い香りをさせながら
にんげんみたいに泣いていた










自由詩 夜の夜中に散る花は Copyright 秋葉竹 2022-12-18 06:15:50
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