母の手あそび
soft_machine

聞こえなくても 揺れは
しずかに からだを
くすぐる

鈴の数だけ 徳をつみ
旅してきた といううわさ
お前 りりん

音に連れられ
クロスワードで
 世界を助け
ファッションショー
 森を救って
 行ってしまった

生きる暗号に 巧みだという
わたしが 本なんか手にとると
うなるスピーカー

煙の奥 ぽちりと浮かぶ
はだか電球

笑いながら 怒らないで
与えながら 奪わないで
誰にもきこえない ため息や
ほそく 引かれるなみだ

久しぶりに 手とり歩く
母の背は
堅いこぶ瘤
抜けた髪が
いつ頃からか 銀の巻毛



自由詩 母の手あそび Copyright soft_machine 2022-12-17 20:25:09
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