冬のレモン
shura
小さな啄木鳥が
枝のむこうに
隠れて鳴いている
霜に白く
苔に覆われた墓石の上に
戯れる小栗鼠
韜晦する記憶のメレンゲ
青い雫
仄かに紅く冷たく
かじかんだ耳たぶに
触る
そらのおと
鱗のような
落ち葉のあしあとが
失われた物語を包んで
その海を
軽やかに渡る
揺れる産毛
閉じ込められた
石鹸の匂い
葉脈のような
ちいさな手が
いっぱい
伸びて
空に
投げあげる
ふゆのレモン
自由詩
冬のレモン
Copyright
shura
2022-12-17 20:04:04