エインスベルの逡巡(三)
朧月夜
この世界での戦いは、すでに国家間の戦いではなくなろうとしているのだ。
現世と異界、人々と魔物。そんな戦いが始まろうとしている。
祭祀クーラスは、そんな世界にあっては小物だ。しかし、
小物が世界の行く末を左右する、ということもあり得るのである。
祭祀クーラスの意向如何によっては、ライランテ大陸は滅亡する。
そのような危機感を、祭祀クーラスは抱いてはいまい。
世界は己が野心によって左右され得ると信じている。
しかし、事はアースレジェ、ひいてはヨースマルテの未来をも、左右しかねない。
今、魔道は世界を滅ぼし得る剣となった。
この剣の効力を左右し得るのは、魔導士だけである。
そして、その魔導士の頂点にエランドルがいる。
エインスベルは、自分の敵は果たして誰か、と思い迷った。
祭祀クーラスを倒しても、あるいはこの世界の混乱は収まらないかもしれない。
それどころか、さらなる混乱がヨースマルテに待ち受けているとも限らないのだ。
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クールラントの詩