暗闇のなかの戦い(七)
朧月夜
「おのれ、ガージェス・ノルディア! 俺のイリアスをどうしたと言うのだ!」
アイソニアの騎士は、怒りに駆られるままに言った。
しかし、その言葉が、言動が、彼自身の運命を縮めさせるものだとは、
この時点では分かっていなかった。
「イリアス、イリアス、俺の愛しい女!
誰にも、彼女が幼女だとは言わせない。彼女は聡明で、
この俺をも諭してくれる心ばせを、持っている女なのだ。
彼女がいなければ、俺の人生は闇のなかだ!」
ヨランは、アイソニアの騎士が瞠目する様を見ていた。
(以前なら、こんな時、騎士様はエインスベル様のことだけを見ていた。
しかし、今はイリアス・ナディという少女がその心を占めている……)
ヨランは訝った。このような個人と個人との関係性というものが、
国家というものを壊していくのではないかと……そこには、冒険がある。
一人一人の。そして、何をもってしても、誰をもってしても、贖いきれない何かがある。
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クールラントの詩