上達とは何だろう
秋田の米はうまい
三ヶ月で200枚の絵を描く仕事、素人だがうっかり引き受けてしまう
馴染みのない画材は不安
初めの3枚は手探りで慎重に描いたがとても見られない
しばらくは早く適当に描いて上手く見える絵を描く感覚を模索しよう
2週間で30枚描いた
感覚は掴めないし、クオリティが酷い
ヒゲの叔父さんばかり描いているが
一番趣味に合っていて楽しい
特に襟の形、時代の服飾文化が素晴らしい
60枚描いたところで最初の3枚より下手になっていることに気づく、こういう絶望はきらいじゃない
ピグマの0.03ミリはかすれてくるとエッチングみたいな細い線が引ける、しかしペン先がめり込み30枚しかかけないのが気分が悪い
世界中の偉人の顔をひたすら描く
ゲーテのように人格もあり地位も高く芸術への野心もある風格と気品を感じる顔
生まれたときから神に愛される美しい壊れやすいこころと人を引き付ける容姿を持つ詩人
どこか霧の中を歩くような現世を拒む夢うつつの表情をした文学者
醜い容貌で書く文も捻じくれた怪異の世界の人間
目の奥の狂気が素晴らしい芸術家
100枚あたりから手直しの時間を確保するため一日最高7枚にペースをあげる
160枚目くらいのときに細かく時間をかけて一枚描いたら即上達したので早く上手く見える絵を描く訓練は少しも上手くならないと分かった
200枚終了した
明日になればもう描き方は忘れてしまう
それに本来私は接客業だ
なんの意味もないし
あとから自分の描いたものが出版されても
見たくない