解読を拒み続ける狭い迷路だ
Lucy
君はさながら落下した蝙蝠
五体投地のごとく身を投げ
泥に翼を打ち付けながら恍惚と匍匐する
堕胎した言葉の数々を
霧の森の果てる處に埋めに行く
生まれようとした嬰児を奥深く隠す湿地から
またゆらゆらと
シダ類の胞子のように浮遊する
影を纏わずに歩かなければと君はねがう
絡みつく蔦が縦横に木々を絞め殺し
大地の裂け目が至る処で闇を睨んで瞬いている
やがて
君は両手で掘り始める
絡み合う樹木の根の間
爪に腐葉土を食い込ませ
己の手足を沈めるのにちょうど良い深さの柩になるまで
そして胴体に顔を埋めて
生まれる前から親しかったやわらかな闇に深く分け入る
およそ共感と同調を拒絶しながら
さよなら 君はそこで横たわるのか
僕は出口を探すよ
培ってきた根幹を手放し
他者の気配が河口のように混じり合い
結晶の触れ合う音がなだらかに反響する方へ
耳を澄まし手をさし延べる
洞窟の最深部に穿つ
ほの暗い窓の向こうの 冬へ