暗闇のなかの戦い(四)
朧月夜

アイソニアの騎士は、次々とオーバ・ニーチェの兵士たちを仕留めていった。
そのことに、オーバ・ニーチェの要員たちも、顔色を失っていく。
(これが、アースランテの千人隊長の実力か?)と。
ガージェス・ノルディアも、顔色を失った。

「さすがは、アースランテの千人隊長ということですな。
 しかし、イリアスを奪い返しただけでは、勝敗は決しませんぞ。
 わたしは、あなたの命を奪うことも許可されている」
「しゃらくさい」と、アイソニアの騎士。

アイソニアの騎士は、ふいにかすかな灯りの元へと向かって飛躍した。
それは、ガージェスの持っている魔法石の輝きだった。
ガージェスは、魔導士ウィザムには及ばないとは言え、魔術が使えたのである。

「そこな! お前の心臓が見えたぞ!」アイソニアの騎士が叫ぶ。
そして、ガージェスの心臓へ向かって、剣を突き立てる。
「どうだ、剣の味は? 魔法よりも甘美だろう?」ガージェスは、そして絶命した。


自由詩 暗闇のなかの戦い(四) Copyright 朧月夜 2022-12-12 17:04:31
notebook Home
この文書は以下の文書グループに登録されています。
クールラントの詩