暗闇のなかの戦い(三)
朧月夜
その瞬間から、敵兵たちの攻撃は、正確なものとなった。
(俺たちの動きが分かっているのか?)と、アイソニアの騎士は惑う。
「おい、ヨラン、状況はどうなっている?」
「はい。敵は暗視の呪文を使ったと思われます。わたしたちは、丸見えです」
「では、ヨラン。お前が俺の目となれ。暗視は効くのだろう?」
「はい。ドワーフですからね。しかし、わたしの助成だけで事足りますか?」
「やってみなければ、分かるまい。お前は、俺の放つ弓矢の着地点が、
敵の心臓の位置に来るように、誘導してくれ」
「いささか難しい注文ですが、不可能ではないでしょう。
それでは、騎士様。右に四十度の位置に弓を構えてください」
「分かった。それ!」アイソニアの騎士は、ヨランにも聞こえるような声で言った。
「ぎゃっ!」一人の兵士が、アイソニアの騎士の攻撃によって倒れたようだった。
「上手く行った。ヨラン、引き続き俺を誘導してくれ。今は遠隔攻撃が有効だ!」
「了解しました、騎士様」ヨランが、いつになく威勢の良い声で答えた。
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クールラントの詩