暗闇のなかの戦い(二)
朧月夜

ただでさえ暗い時間帯に、この漆黒の地下室は、
敵味方双方にとって不利であるように思われた。
しかし、アイソニアの騎士はゾフィアスの剣を持って歩いていく。
この剣は、幾度となくアイソニアの騎士を、そしてエインスベルを救ってきたのである。

問題は、敵側に弓兵がいるかどうかだった。
両手剣であるゾフィアスの剣だけでは、弓矢による攻撃は防ぐことはできない。
しかし、この数ゲールの間に、弓矢が放たれた感覚はなかった。
アイソニアの騎士は、意志を奮い起こして、闇へと向かっていく。

(ガージェス・ノルディア、それが親玉なのだな?
 このような素人集団、俺の敵ではない。親玉を撃破すれば、
 残りの人間たちは、てんでばらばらに潰走するに違いない)
 
しかし、事態はそれほど甘くはなかった。
ガージェスが、ヨゴス・ザルデの呪文を唱えたのである。
それは、術者の仲間たちが暗闇での視界を得るという呪文だった。


自由詩 暗闇のなかの戦い(二) Copyright 朧月夜 2022-12-12 17:03:16
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