死ぬ、のはなし
秋田の米はうまい
去年の年末に
急に
母がご飯を食べられなくなった
入院して退院してご飯だけは食べられるようになった
みんなに迷惑をかけたくないからと自然に弱って死ぬのを決めた日に父にすき焼きを作ってもらって
食卓にならぶのも難しかったから
これが最後だと思って一緒に座って
頑張って食べた
それから父は毎日母が食べられるものを探しては作って身体を拭いて話しかけて
母は離れてくらす子供のことを自分が近々死ぬことよりも心配して
三ヶ月くらいだけテレビをみて笑えるくらい元気になった
お盆をすぎて母は死んだ
自分はもう大人だしと思って
気にせず仕事してた
でも最近、時間がたてばたつほど
母の優しい気持ちがこびりついていて
母が優しかったことが
なんか悲しい
父が母に優しかったことも
なんか悲しい
人が死ぬのは理由もなく悲しいんだなと