ガージェス・ノルディア(六)
朧月夜
「具体的な考えを聞かせてもらおうか? いや、まずお前の名前だ」
「わたしは、ガージェス・ノルディア。オーバ・ニーチェのナンバー2です」
「オーバ・ニーチェは、祭祀クーラスの作った密偵網だと言ったな?」
「その通りです。しかし、オーバ・ニーチェにはオーバ・ニーチェの方針があるのです」
「その方針とは?」アイソニアの騎士が、また疑問を口にする。
「ライランテ大陸の統一です。それは、クールラントから始まります」
「馬鹿な! クールラントは平和を愛する国家だ。
そこに居たたまれなくなった、俺が言うのもなんだが……」
「あなたは言語崩壊のことを、知っていますか?
そこで、人々にどんな不幸が訪れたのかを」ガージェスが続ける。
「今、この世界ヨースマルテは危機を迎えようとしています」
「そして」と、ガージェス。「その危機を煽ろうとしているのが、ヒスフェル聖国なのです」
「俺は、ヒスフェル聖国は信用できない。あれは、いかさま国家だ!」
「その考えが、早計だと言うのです。今この世界は、変化の時を迎えています」
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クールラントの詩